月別アーカイブ: 2015年12月

「十三代今右衛門」 × 「十四代柿右衛門」展

今は亡き十三代今右衛門と十四代柿右衛門の合同展、日本橋三越本店に行ってきました。

同じ有田焼にありながら、作風が全く異なる両家の作品が一同に展示というのは初めての試みとのこと、来年2016年には有田焼創業(日本磁器誕生)400年を迎える記念ということもあり、この時代いまだからこその開催の実現というような気もします。

 

今柿三越

 

初日の26日には当代の十四代今右衛門と十五代柿右衛門のトークイベントが佐賀県立九州陶磁文化館の鈴田由紀夫館長の進行で行われました。貴重なトークショーということで大変な賑わいで、20~30代の若い方々の姿もみえ、幅広い年齢層であったことも嬉しく思いました(^^)

 

今柿トーク (2)

 

 

 

【今右衛門展】

 

江戸時代、今泉家は鍋島藩の御用窯「鍋島藩窯」の御用赤絵師として上絵付に携わっていました。鍋島焼は将軍家や幕府への献上、贈答品などとして厳重な管理体制の下で作られ一般には流通しない高級品です。染付の青、赤、黄、緑の基本色をもとに「色鍋島」の技法を継承しながら、十三代はご自身も好んでいた初期伊万里の「吹墨」技法(呉須を吹きかけるため青色)を取り入れ、さらに「薄墨」(薄いグレーの絵の具を吹きかける)、それらを重ねた「吹重ね」を確立し、色絵磁器の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。

 

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当代(十四代)はさらに伝統の色鍋島を引き継ぎ、色絵にプラチナを施し、「墨はじき」「薄墨」により時計草文を雪の結晶のように見立てる作品「色絵薄墨墨はじき時計草文鉢」も手掛け、現代的に発展させています。「まぁきれい!」「万華鏡のようね」など多くの声が聞かれました。思わず驚嘆の声が出てしまうほどの美しさです。

 

十四代も2014年に重要無形文化財保持者に認定されており、陶芸家としては最年少とのことです。

「色絵 薄墨墨はじき柘榴文 蓋付壺」のプラチナのざくろは壺の面の向きにより輝きや反射が変貌し、不思議な世界が広がります。

 

先代の作品の中で特に気になったのは「色絵薄墨更紗文瓢箪形瓶」です。ひょうたん形の瓶にねじりの入り方が何とも絶妙で、それぞれの面の見事なまでの文様の精緻さ!その場に長くとまって見入ってしまいます。

 

先代の父親の「やきもの作りに一番大切なものは、人間性そのもの」の教えを大事に、「江戸期から作り手は後に残そうとして作るのではなく、海外からの求めに応じて技術も発展してきたように、その時求められるものをその都度作っていく、それが繋がりとなっていく」とおっしゃる先生。そうですよね、他の分野でも通じるところがあるのではないでしょうか。

 

ギャラリーでは気軽にお話を伺える雰囲気で初歩的な質問にも熱く語ってくださいました。直々にお話しできる機会はそうはありません。大勢の方と談笑されていました。

 

【柿右衛門展】

 

江戸時代、初代柿右衛門は長崎で中国人により伝え聞いた赤絵の調合法をもとに、赤色を創り出し、色絵磁器の焼成に成功しました。1659年に古伊万里の欧州への本格的な輸出が始まり、大量生産に対応するため分業体制も整い製造技術も頂点までに高まりました。その延宝(1670~81)頃に有田の釜々で作られた製品を「柿右衛門様式」といいます。濁手(佐賀地方の方言で米のとぎ汁をにごしと呼ぶ由来から)という乳白色の素地に映える明るい赤を中心に染付は使わず余白を生かした左右非対称の繊細な文様が特徴で、欧州でも絶大な人気でした。

 

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十四代は2001年に色絵磁器の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されます。襲名前、後、晩年と作風の変化がはっきり表れているように思います。輪郭の線の筆使い、太さ細さが顕著だったのが晩年は細くなったりと、初代の頃の作品に似てきたような印象でした。

中でも「濁手 山つつじ文 鉢」は、特に気に入ってます。友人の中島宏氏(青磁の人間国宝)と長崎へ釣りに行った際に岩壁から持ち帰ったという山つつじを題材にしたとのエピソードも聞いたので、作品の二枝の対面した山つつじが右回りに大きく動きを感じさせる構図から、趣味であった釣りを楽しまれる風景が浮かんでくるようでした。

 

「幼少の頃から跡継ぎは当然のように思ってきた、父親とはじめてきちんと話したのは高校生の頃で、家を継承するように自然にすり込まれてきたのは両親ではなく祖父母からでした」と十五代。濁手の素地に丁寧に描かれた団栗文の今年の新しい作品も印象的でした。今後うみだされていく作品もとても楽しみですね。

 

代々続いている伝統を引き継ぎながら新たな風を吹き入れていく、どんなに大変なことか、なかなか想像もできないものです。

 

先代と面識のあった鈴田館長はその世代の苦悩もご存じのようで、“ 先代が育てた職人さんによって現在は支えられ、そして次の世代は今育てていく職人さんたちによって支えてもらうことになるもの ” だそうです。

 

この展覧会は1月11日まで開催、有田焼の歴史年表や先代が大切にされていたゆかりの品々、題材のデッサンなどの展示もあり、それぞれのギャラリートークも予定されています。

 

素晴らしい作品の数々が一同にずらり展示されているので、作風の変化などもみえてきます。イヤホンによる音声ガイドも端的で分かりやすくて、お勧めです。

 

江戸時代から続く歴史を感じながら、ぜひ鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

自分のお気に入りの一点を探してみるのも楽しみ方のひとつだと思いますよ(*^-^*)

 

会社周年行事、記念イベント担当者さまへ

企画にお困りではありませんか?
弊社は「古伊万里の美術館」形式で出張します。
周年行事や記念イベントのひとつとして計画されてみてはいかがでしょうか。

 

大まかに江戸時代の有田焼を「古伊万里」と呼んでいます。
実は骨董品として堅苦しいものではなく、絵柄模様ひとつでも楽しめます。

「古伊万里」は、誰もが毎日使っている食器(磁器)の始まりにあるもの なのです。

 

 

この向付は、約200年前の江戸後期~幕末のものです。よ~くご覧ください。

鳥の頭の大きさ、顔、羽の形、葉の付き方、数・・・
間違い探しのようですが、同じ形模様のうつわも比べて見ると全く違いますよね。

お子様から大人までご一緒にお楽しみいただけると思います。
イベントなどを通して、地域の活性化、地方創生などにもつながれば光栄です。

 

来年2016年には、佐賀県の有田で日本磁器が誕生して400年を迎えます。

記念すべき喜ばしいこの機会に、ぜひ検討されてはいかがでしょうか。

人間国宝「井上萬二」先生の作陶展とトークショー

はじめまして。

ブログ第1回目は「白磁」の人間国宝、井上萬二先生についてです。

 

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先月21日、玉川高島屋にて開催された井上萬二先生の作陶展とトークショーに行ってきました。
86歳とは思えぬほどお元気な方で(自称68歳(*^^)vだそうです) ユーモアに溢れる1時間でした。

 

有田焼の窯元に生まれ、海軍を志していた時代のことから、窯元を継ぐ決意、
技術の習得のための知恵と知識、窯業そのものの勉強と指導、
アメリカの大学から講師として招かれ勤務し、帰国までのエピソードなど、
これまでの先生の人生が目に見えるようでした。

 

「腹黒いから白いものを作っている」などの冗談で笑いを誘っていましたが、
白いから「白磁」ということではなく、ろくろで白素地を「形」で表現するものだそうです。

 

健全な体力に感謝し、高度な技術と豊かな感性とあきらめない努力、そのような中からあのような素晴らしい数々の作品が完成されるのですね。

 

aaaaaaaa

 

平成の現代の伝統を作っていくためには常に新しい発想が不可欠であり、
長年「月月火水木金金」で働き続けてこられた先生ですが、
今日となっては、 アイディアというものは日課であるウォーキングの中で浮かんだり、旅行したり美しいものを観たり触れたりすることで生まれてくるものとのお話でした。

トークショーの直前もフロアを歩きながらいくつかの案を頭にインプットされたそうで、そのような常日頃の心構えもやはり違うのですね。学ぶべきこと満載でした。

 

現在も重要無形文化財保持者として伝統工芸を伝授すべく、個展は銀座和光で毎年、海外でも近年はポーランド、ニューヨーク、香港などで開かれています。

先生の話を伺った後、作品ひとつひとつから輝きがさらに増して伝わってくるものがあり、ファンが多いのも実感です。

 

純白に輝く「白磁」の花器や壺、淡い桜色や黄色の釉薬も手伝い、アートサロンに放つ美のオーラはかなりのものでした。

 

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これまで古伊万里の染付や色絵にはたくさん親しんできましたが、すっかり萬二先生の「白磁」に魅了された一日になりました。

今後も個展の際には、是非トークショーも開催していただきたいと思っています。

あまり磁器に興味なかった・・・という方にもお勧めできますよ(^^)